学会誌『日本語文法』の「特集」に関するお知らせ

日本語文法学会 学会誌委員会

1. 今後の「特集」のあり方について

 従来,本会の学会誌『日本語文法』では,各巻第2号に,前年の大会シンポジウムのテーマを踏襲した「特集」(執筆者はシンポジウム登壇者)を掲載しておりました。
 この慣例は,『日本語文法』の学術的価値の向上,ひいては日本語文法研究の発展に,大きな成果を積み重ねてきたと言えます。
 ただ,本会も設立20周年を迎え,設立当初(学会誌創刊当初)には,想定できなかった問題も生じるようになりました。
 学会誌への寄稿を前提とした,大会シンポジウムのテーマ設定が困難になってきたこと,さまざまな事情で「特集」が組めないことがあったこと,あくまで大会シンポジウムのテーマのため,必ずしも学会誌の特集テーマにはそぐわない面があること,等です。
 このような問題への対処のため,また,20周年という区切りを迎えるということもあり,思い切って「特集」のあり方を見直すことにいたしました。
 その結果,以下のように決定しましたので,お知らせいたします。

(1) 2020年9月刊行の『日本語文法』20-2の「特集」は,前年の大会シンポジウムの内容からは切り離し,学会誌独自のテーマ(20周年記念特集)とします。
 なお,2019年度の第20回大会におけるシンポジウムの内容は,2020年3月刊行の『日本語文法』20-1に,従来よりも分量を豊富にして掲載します。

(2) 2021年3月刊行の『日本語文法』21-1から,「特集」を従来の各巻第2号ではなく,各巻第1号に掲載します。そしてその「特集」は,学会誌委員会から提示するテーマに基づいて,会員各位から特集用論文を募集する形式をとります。
 これは,会員各位の投稿を促すという意味で,いわゆる公募型の「特集」の創設が望まれていたということもふまえてのものです。
 次のようなスケジュールになります。
   2020年3月… 20-1:特集なし
   2020年9月… 20-2:20周年記念特集(論文の募集はなし)
   2021年3月… 21-1:新「特集」(公募型)
 つきましては,早速,21-1における特集のテーマを,次の2.で告知いたします。

2.「特集」および「特集用論文」募集のおしらせ

 『日本語文法』21-1(2021年3月刊行)では,テーマに沿った投稿論文を募集する形式の「特集」を掲載します。
 会員各位におかれましては,以下の「テーマ」及び「趣旨」を御理解の上,ふるって御投稿いただきますよう,お願い申し上げます。
 今回の特集は,学会誌委員会の青木博史,庵功雄の両委員が,企画を担当しました。
 なお,一般の投稿論文とは別枠とはするものの,査読は通常通り行います。また,一般の投稿論文も通常通り受け付けます。この特集の創設により,一般の投稿論文の採用数を減らすということはありませんので,御懸念のないように願います。
 投稿の期限は,通常の21-1の投稿期限である,2020年10月1日を予定しておりますが,投稿開始の時期,また投稿にあたっての形式につきましては,改めての御連絡とさせていただきます。

『日本語文法』21-1 「特集」
テーマ:コーパス

趣 旨:
 近年,様々な種類のコーパスが続々と構築され,それに伴って日本語研究は大きく進展しました。現代標準語の記述を目的としたものだけでなく,歴史的文献資料に基づいた通時コーパス,話しことばコーパスや書きことばコーパス,さらには方言コーパス,日本語学習者コーパスといったように,多様なニーズに応える形で急速に整備が進められています。
 日本語文法研究は,こうしたコーパスの恩恵を最大限に受けてきた分野であると言えます。これまでの手作業による用例の収集や,内省に頼った分析とは異なる,大量データに基づいた帰納的な考察を可能にしてきました。そして,コーパスを活用した研究が,今後もさらなる成果を上げる可能性を秘めた方法論であることは,衆目の一致するところであると言えるでしょう。本学会が発足して20年,将来を見据えた新しい未来を拓く「特集」テーマとして,「コーパス」をここに提案いたします。
 記述的研究や理論的研究,歴史的研究,方言研究,変異研究,対照研究,談話研究,語用論,文体論,日本語教育,自然言語処理などアプローチの方法は問いません。コーパスを用いた意欲的な研究の成果を,大いに披瀝していただきたいと思います。ただし,何らかの形で,日本語文法研究への貢献が認められる内容に限ります。最先端の成果を集積した本特集が,今後の学界の道標となることを願っています。

(企画担当委員:青木博史,庵功雄)