特集:方言文法 ― 『日本語文法』22巻1号(2022年3月)

学会誌『日本語文法』の「特集」に関するお知らせ

日本語文法学会 学会誌委員会

 『日本語文法』22-1(2022年3月刊行)では,21-1の第1回に続く,第2回の「特集」として,一般の研究論文とは別に,テーマに沿った投稿論文を募集します。
 会員各位におかれましては,以下の「テーマ」及び「趣旨」を御理解の上,ふるって御投稿いただきますよう,お願い申し上げます。
 なお,一般の投稿論文とは別枠とするものの,査読は通常通り行います。また,一般の投稿論文も通常通り受け付けます。この特集により,一般の投稿論文の採用数を減らすということはありませんので,御懸念のないように願います。
 投稿期限は,22-1の通常の投稿期限と同じ,2021年10月1日です。
 御投稿にあたって,書式等は一般の研究論文と同じですが,「種別」欄は「研究論文」とし,論題の冒頭に「(特集)」を付記してください。ただし,この付記は,投稿時における便宜的な措置であり,掲載時には削除します。
  [例] 「(特集)大阪方言の行為要求表現について」

『日本語文法』22-1 「特集」
テーマ:方言文法

趣 旨:
 地域方言の文法研究は,2000年代に入ってからの20年の間に飛躍的に発展したといえます。本誌「日本語文法学界の展望」第1回(2006年)から第5回(2019年)までの「方言文法」の節を通して読むとその軌跡がよくわかります。第1回の展望では,方言文法の体系的な記述が本格的に進みはじめていること,談話資料をデータとした帰納的なアプローチによる方言文法の記述がみられることについて指摘があり,方言を個別の言語体系とみることによる現代日本語研究との対話の充実に期待が寄せられています。一方,第5回の展望では,文法とイントネーションのかかわりなどを扱った領域横断的な研究の隆盛,現代日本語文法に対する方言文法からの貢献,特定方言の総合的な記述研究の発展に対する期待,方言文法の研究成果を海外へ発信することの重要性が述べられています。個別的な事象の丹念な記述から体系的・領域横断的な記述へ,そして方言間・言語間対照や類型論的なアプローチへと広がりを見せていることが窺えます。
 こうした背景をふまえ,方言を対象とした文法研究のさらなる発展と,他分野の言語研究との対話・交流の深化を目指したいという思いから,今回の「特集」テーマを「方言文法」とすることにしました。
 特定の方言を対象とした記述的な研究,方言と方言,方言と標準語,あるいは方言と他言語との対照研究,方言を類型論や理論的な観点から捉えた研究など,方言を扱った多様な研究論文が特集として本誌に掲載され,方言を対象としていない文法研究者にも新たな知見が提供できるような特集となることを期待しています。
 なおここでは便宜的に「方言」という語を用いていますが,日本語と系統関係にある言語や,日本語とかかわりをもつ接触言語を扱った論文の投稿も大いに歓迎いたします。

(企画担当委員:高木千恵,日高水穂,松丸真大)