時間を表すトキ節における出来事が動詞のル形で表される場合,主節の出来事との時間的前後関係がアスペクト対立による相対化では表されないことがある。このようなトキ節文は,一般的・普遍的・習慣的叙述 (例「日本では初めて人に会うとき,名刺を交換する」) や話し手の能動的態度の表明 (例「今度君のところへ行くときは,泊まらせてもらうよ」) において表れやすい。後者ではトキ節のル形は話し手の能動的態度における前提としての予測可能な或いは予定行動的な出来事を表している。これらはル形をタ形にしても内容は変わらないが,タ形の場合は事実確認的で時制解釈が必然となるのに対し,ル形では出来事が「こういう過程や成り行きのもとではこうなる」というようにプロセスとして捉えられ,話し手の叙述態度を成立させるための共演的役割を担っているものと考えられる。