日本語と韓国語における指示詞の対応関係と相違点について――距離・記憶・認知経路の観点から――

姜 龍煕 (東京大学大学院生・神田外語大学非常勤講師)

 日本語と韓国語の現場指示の使用方法において,対立型では類似した体系を用いるが,融合型では韓国語の中称はほぼ現れない。むしろ話者と指示者の指示関係で指示詞を選ぶ。文脈指示の場合,稀ではあるが日本語では使用しない遠称の「チョ」の使用例がある。また,日本語では「カテゴリ用法」,「分配的解釈」と言った指示方法は韓国語にはない。韓国語では視界から非視界にかわる際,文脈指示と短時間での観念指示での併用が可能である。また,日本語では談話中に現場指示を優先する一方,韓国語では一度指示された対象については,ほぼ自動的に文脈指示にかわる。日本語では記憶の情報を伝える際,聞き手との心理的距離を配慮して「ア系」と「ソ系」を区別するが,韓国語ではそのような認知経路はない。「曖昧なソ系」と「驚き・意外性のア系」は韓国語にはない用法である。韓国語では,観念指示の用法の中に非視界でも近称の「イ」が用いられる特徴がある。


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Last update: 2003/10/28