「のだった」の機能に関する一考察

庵 功雄 (一橋大学)

 「のだった」には,1)想起/再発見 2)反事実 3)単純過去 の3つの用法がある。本発表ではこのうち,1)と2)について主に考察した。1)については,この用法が静的述語におけるいわゆる「ムードの'タ'」に相当するものであることを指摘し,この用法をテンスの体系の中に位置づけるべきであることを論じた。2)については,同じく反事実を表す「〜ていた」との関連からこの場合の「のだった」が形態論的には完了形であることを指摘した。最後の3)については,モダリティ形式のタ形という観点から考察した。そして,タ形を持ついわゆる疑似モダリティ形式は,A)タ形が義務的に反事実を表すもの B)タ形が反事実を表し得ないもの C)タ形が反事実も単純過去も表し得るもの に分かれることを指摘し,A)のタイプのものは疑似モダリティではなく,真性モダリティを表すものと考えるべきであることを論じた。 


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Last update: 2003/10/28