日中両国語の心理動詞のうち感情を表すものを抽出し他動性の有無などで分類し比較した。開始・終了の限界性を調べ,両国語共に明確な開始限界はあるが終了限界は存在しないことが確認された。また状態動詞と比較し両国語共に差異は明確であった。また感情形容詞との相違について考察したが中国語では心理動詞との差異が殆どないことが観察された。これらは「起来」「下去」等の時間性語句と共起し状態的否定「不」,時間的動作的否定「没」の両様の否定形式をとり,動詞との差異は際めて不明瞭であった。これらの考察を基に両国語の心理動詞・形容詞を語彙概念構造で表し比較した。共に一部を除き全て主語はExperiencerで自動詞はunergativeと見なされ,心理世界での「変化」は到達・終了を含意せず内項への作用がなく下位事象に内項が存在せず,上位事象は「没」が,下位事象は「不」が否定し,認知的相違もあり中国語表現はより動作性が高いと結論付けた。