認知言語学と文法研究
――言語科学からみた記述・説明の妥当性――

山梨正明(京都大学)

 これまでの文法を中心とする言語学の研究は,伝統的な規範文法の研究,現象の体系的な分析をめざす記述文法の研究,現象の背後の規則性,法則性の解明を目標とする理論言語学の研究に,一応,区分することができる。ただし,この種の区分は,絶対的な区分ではない。この種の区分は,ある意味でミスリーディングである。伝統的な規範文法の研究の中にも,言語事実に関する記述的な側面を見てとることも可能である。また,いわゆる記述文法の研究にも,言語現象をどのようにカテゴリー化し体系化するかに関する理論的な視点を見てとることも可能である。以上の点を考慮するならば,「規範的」,「記述的」,「理論的」という用語によって,これまでの言語研究を絶対的にカテゴリー化し,下位分類していくことは厳密には不可能である。本発表では,特に認知言語学のパラダイムを背景とする言語科学の視点から,従来の文法研究における記述・説明の妥当性の問題を考察し,文法研究の新たな展開の方向を検討した。


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Last update: 2002/03/13