本発表では,日本語の「共同」と中国語の "共同" の意味と用法のズレについて,「対称関係」を理論的背景とし,日本語と中国語における「共同行為者」の概念を中心に考察を行った。したがって,以下の結論を得た: (1)共同行為者が共通の目的のため,互いに協力し合うという意図性により結ばれて組織内対称関係を成す,という点においては,日中両言語は共通している。(2)「共同 (で)」は一般の動詞とでも,対称動詞とでも,共起可能な環境が一致している。中国語の "商量(「相談する」)" などの対称動詞の場合,共同行為者は対立的な存在としてではなく,並列的に認識されているため,"共同" と共起可能である。(3)中国語においては,"共同" は事態のまとめ上げという要素も働いているため,無意志動作との共起も可能である。この場合,無生物主語も共同行為者として働いていると考えられる。